CS(北海道コンサドーレ札幌)的日誌 2019/10/26号
頂点は簡単に立たせてくれず
北海道コンサドーレ札幌 3-3(PK4-5) 川崎フロンターレ
得点者
- 北海道コンサドーレ札幌
- 10分 菅 大輝
- 90+5分 深井 一希
- 99分 福森 晃斗
- 川崎フロンターレ
- 45+3分 阿部 浩之
- 88分 小林 悠
- 109分 小林 悠
PK 戦 川崎フロンターレ(PK5-4)北海道コンサドーレ札幌
- ○ 小林 悠 ー ○ アンデルソンロペス
- ○ 山村 和也 ー ○ 鈴木 武蔵
- ○ 中村 憲剛 ー ○ 深井 一希
- × 車屋 紳太郎 ー ○ ルーカスフェルナンデス
- ○ 家長 昭博 ー × 石川 直樹
- ○ 長谷川 竜也 ー× 進 藤亮佑
ジェイ
(アンデルソンロペス)
チャナ 鈴木
ティップ (荒野)
菅 白井
(中野) (ルーカス
フェルナンデス)
荒野 深井
福森 キム 進藤
(石川) ミンテ
ク・ソンユン
sub:菅野 早坂 岩崎
決勝の舞台です。優勝しないと意味がないと、よく言われますが、そんなことはありません。普段のリーグ戦とも雰囲気、世界がちがいます。新しい景色でした。この決戦に立てるのは 2チームのみです。あと一歩で優勝は逃しましたが、力のあるチームなら、シルバーコレクターと呼ばれながらも必ず勝ち上がってきます。負けたなら、また這い上がりましょう。まだ時期尚早で、再び戻ってこれるから、今回はおあずけになったものだと思っています。そのように考えると、5度目の挑戦の川崎フロンターレの優勝は、見方を変えてくれました。
前後半(試合経過)
早い時間の先制点で、もしかしたら行けるんじゃないと思いました。それほど菅の先制点は重要でした。バーに跳ね返ったのでゴールラインを越えていたのかわからなかったのですが、大舞台で今季初ゴールが決まってくれました。福森のロングフィードを白井が受けて、深い位置から囲まれながらもファーに低いクロスを出せました。この時点だけでも、フロンターレに充分脅威を与えました。
その後もジェイを筆頭に前へ攻めていきますが、しばらくすると、ボールを保持される時間が多くなります。それ自体はリーグ戦でもよくあることですが、違ったのは、出所を伺うパス回しではなく、気がついたら攻められていたことです。J1 の試合とペースは見慣れてきましたが、フロンターレはパスの上手さや精度が格段に違いましたね。前半30分あたりから持たせている傾向でしたが、10分後に、実は相手のペースになっていたことに気づきました。そうなると、前半のうちに同点に追いつかれたのは必然でした。アディショナルタイムのラストワンプレーで、CK からフリーの阿部が胸で収めて、ソンユンの股下を抜かれました。シュート数は7本に対して14本撃たれ、ボール支配率は63パーセントも持たれていました。
後半に入ってからも、この傾向が続きました。こちらの攻撃のノッキングが目立ってきて、もどかしくなってきました。これは監督もすぐ感じ取ったのでしょうか、早めにカードをきります。後半13分に、ジェイに代えて、アンデルソンロペスを入れました。これで、前線でボールが収まってくれて基点ができ、セカンドボールを拾えるようになりました。この交代は成功しましたね。さらに 28分には、白井に代えて、ルーカスフェルナンデスを投入。ドリブルとライン際の粘りは、、フロンターレも手を焼いたことでしょう。しかし、日本代表クラスの中村憲剛を64分に 、小林悠を72分にそれぞれ投入されてはかないません。格の違いと選手層の厚さを痛感しました。もちろんスタジアムの雰囲気も変わります。必然的に攻められる場面が増えました。88分に巧みに胸トラップして逆転ゴールを奪ばわれると、さすがにガックリきました。
アディショナルタイムが 4分と 表示されても、攻撃の糸口がつかめません。その上、時間を使われて、時がどんどん過ぎていきます。後半50分になって、鈴木が右サイド粘って右 CK を獲得しましたが、ラストプレーになるのは確実でした。そこで福森が高精度のクロスを送ると、大島に競り勝った深井がヘディングシュート。ネットを揺らした瞬間は現実とは思えなかったですね。誰が押し込んだのかよくわかっていませんでしたが、言葉になりませんでした。これで望みがつながりました。
延長戦(試合経過)
首の皮一枚繋がると、未体験ゾーンに入ります。120分間の闘いはほとんどの選手は経験ないはずです。そんな中で、勢いそのままに入っていけたのはよかったです。延長前半 3分に、チャナティップが中央で単独突破。ペナルティエリアのぎりぎり外で後ろから倒されました。
この FK を蹴るのは、もちろん福森。しかし、なかなかリスタートしないので、何かでもめているのだろうと思いました。すると、VARの表示。どの場面の検証をしているのか、場内には知らせないんですね。しばらくすると、谷口にレッドカードが出されました。一時イエローカードの判定が下されていたようで、判定の変更。完全に前に出たチャナティップは、後ろからのタックルで倒されて、得点機会阻止になりました。そんな中で福森にとって得意な位置からの直接 FK です。ゴールとの距離や壁の高さを見て、長身の選手が多いニアではなく、ファーサイドに蹴りました。何度も決めたのを見ているのに、きれいに決まった瞬間は、信じられなかったですね。この大舞台、しかも直前の出来事を考えると、プレッシャーもなく、平常心でボールを蹴れたのはすごいです。もちろん森保監督も見ていました。
これで、数的優位になりました。この勢いのまま進みたかったのですが、延長後半開始と同時に、福森に代えて石川への交代で、流れが変わりました。脚が限界だったのでこの交代はやむを得ないのですが、フロンターレにとっては、イヤな選手が退いてくれたと思ったでしょう。しかも、この交代は守りに入るというメッセージに思えました。采配がぶれたように感じましたが、実際にはこの交代しか選択肢はありませんでした。
普段は攻めの姿勢なのに、15分もあるのに守ると思われては混乱します。そんな中で、フロンターレに一人少ないのを感じさせない反撃を受けました。3分、ペナルティエリア内で小林とソンユンが 1対1。キムミンテがブロックしてゴールを死守しましたが、危なくなってきました。しかしこの CK を最後は小林に押し込まれて、再び同点にされました。12分には中野を投入。120分の激闘で決着がつきませんでした。
PK 戦(試合経過)
公式記録では引き分けのこのステージに来ると、半ば運次第になります。それでも有利な材料を見つけたいですが、フロンターレ側のゴールで蹴ることになったのは厳しかったです。順序よりも、エンドの差は出てきますね。誰がどの順番で蹴るかは、論じても意味がありません。メンタルを含めたコンディションで決めたのでしょう。なかなか体感できない PK 戦でわかったことは、外して失敗するのと、止められて失敗するのでは、同じ失敗でも全く違うことですね。石川がスーパーセーブで止められてサドンデスに入ったのは、GK新井にとって優位に立ちました。進藤はキーパーとの駆け引きに負けました。それは必然だったのかもしれません。決して、失敗ではありません。止められたのです。
今日の寸評(ひとこと)
- GK
- ク・ソンユン(5.5)
- 救うセーブもあり割合安定していたが、PK のセーブがなかったところで差がついた。
- DF
- 進藤(5.0)
- エリア近くで競り負けあり。PKはGK新井との駆け引きに負けた。
- キム・ミンテ(5.5)
- レアンドロダミアンとの勝負に勝っていた。危ないところを、よく救っていた。
- 福森(6.5)(106分out)
- 先制はロングフィードから。2点目は CK でアシスト。FK は鳥肌モノ。
- 石川(5.5)(106分in)
- 悪くはなかったが。PK は止められた。
- MF
- 白井(6.0)(73分out)
- ライン際で粘って競り勝って、先制点をアシスト。右サイドで攻守に走り回って貢献。
- ルーカス フェルナンデス(6.0)(73分out)
- ドリブルとライン際の粘りで。五分の戦いに持ち直した。
- 深井(6.5)
- 危ないところでの競り合いやボール奪取で貢献。ラストプレーは価千金のヘッド。
- 荒野(6.0)
- いつも通りの運動量。前へ飛び出す機会がほしかった。
- 菅(6.0)(117分out)
- 開始10分の先制は見事。シュート3本。ラフプレーには気をつけて。
- 中野(-.-)(117分in)
- 出場時間が短く寸評不能。
- チャナティップ(6.0)
- 消え気味の時間帯はあったが、最後までスピードと運動量は落ちなかった。飛び出してスピードにのったところで、谷口に倒された。
- FW
- 鈴木(5.5)
- 2点目の CK のきっかけは作ったが、ミスが目立ち大会得点王は不完全燃焼に終わる。
- ジェイ(5.0)(58分out)
- 開始当初は前へ進み基点になったが、次第に消えていった。
- アンデルソン ロペス(5.5)(58分in)
- 投入でチームが息を吹きかえした。ゴール前で撃つチャンスはあった。
- 監督
- ペトロヴィッチ(6.0)
- 早めの交代でリズムを戻したのは見事。惜しむらくは、脚が限界だった福森から石川への交代が早かったため、攻撃には行かないととらえかねなかったことか。
この試合を終えて
感謝しかないですね。この舞台に連れてきていただいて、ありがとうごさいます。試合終了直後は、言葉を失って、茫然唖然でした。くやしさいっぱいで表彰式を見ていましたが、少し時間が経つと、ものすごい場所に立たせていただいたんですよね。新しい景色を見ただけでなく、Jの歴史にも立ち会ってきました。
この対戦は、リーグ戦最終節に組まれています。12月7日(土)ドームでの再戦は、アツくなりますよ。ベストで迎えるには。まず次の試合を。11月2日(土)14時から、ドームで名古屋グランパス戦。燃え尽きに注意。そのあと、11月9日(土)14時、アウエーで横浜F・マリノス戦。ニッパツ三ツ沢球技場で、ワタシも参戦します。リーグ戦は残り5試合です。
(31日 00:00)