2003年J1セカンドステージ 予想&分析
Aグループ(3チーム)

1位 横浜F・マリノス
15試合10勝3敗2分勝点32(1位)
29得点(1.93)16失点(1.07)得失点差+13

正直言って、ファーストステージの優勝を予想できた人はどれだけいるのだろうか。
岡田監督になってある程度期待はできると思っていたが、このチームにはびこっている体質、とりわけ一貫性のないチーム造りのおかげで、
優勝戦線に加わるのはまだ先と思われていた。ところがその体質を、選手のロッカールームの掃除から始めた岡田監督の手によって変えられたのは正直驚きだった。
展開的にはユン・サンチョルが加入した残り5試合だけで優勝したと言っても過言ではない。
これで2度目のステージ優勝を果たした00年にようやく回帰できたという皮肉な見方もできるが、
まだまだ発展途上のチームであることにはかわりはない。それは同時にまだまだ伸びしろを持っていることも意味する。
サッカーの質的には正直、ジェフジュビロに劣る。DF松田・中澤でしっかり守り、ブレイクしたボランチ那須がプレスをかけ、
左サイドのドゥトラ、右サイドの佐藤由紀彦からCF久保を中心に、力任せでねじ伏せるパワーサッカーだ。
それだけなら守りを固めてカウンターのJ2サッカーそのものだが、
ユン・サンチョル、奥、マルキーニョスがクオリティを高めているのは言うまでもない。
決して美しいサッカーではないが、勝負にこだわるサッカーをできるチームにはなれる。
久保の調子がしり上がりに良くなり、右DF波戸もケガから戻ってくるだろう。
くどくなるが、最後の5試合がフロックでないことを証明できる力は十分有している。
カフー、デルガドを獲得できなくてヨカッタね〜。

攻撃力守備力組織力選手層監督フロント総合
B A B B A CA

----------最終順位 1位  (予想比)


順位 試合 勝数 敗数 分数 勝ち点 得点
失点
得失差
(年間順位) 1 30 17 6 7 58 56 1.87 33 1.10 23
(第1ステージ) 1 15 10 3 2 32 29 1.93 16 1.07 13
(第2ステージ) 1 15 7 3 5 26 27 1.80 17 1.13 10

あっ、あたってしもうた(驚)
2nd開幕時は松田・中澤・久保ら主力に負傷者が続出して、1stの優勝疲れが出たにちがいない、と思わせたが、結果は最終節ロスタイムでの大逆転劇によって両ステージ制覇というこれ以上ない結果を残すことができた。久保のケガの功名にてFW坂田がブレイクする足し算な面もあったが、1st以上にタナボタ感を強く感じた優勝だと感じるのは私だけではないだろう。なんせ3連勝1回、2連勝2回ですよ。1st終盤ユン・サンチョル加入後の5連勝は、一過性という形容詞がつくものの、確かに強さは感じられた。それに比べると数字的にも体感的にも劣っている。正直、岡田監督のチームを創る力がなければ、大混戦のリーグの中で中位に沈んでいたって不思議ではなかった。過去、95年の1st・年間優勝時や00年の1st優勝時を思い出してみよう。翌年はどちらも中位以下に沈んでいるだけでなく、01年には最終節までJ1残留が決まらなかったのだ。03年天皇杯で市立船橋にPK戦まで持ち込まれたのも偶然とは思い難い。
そういった観点からアントラーズジュビロの2強時代は終わったという声をよく耳にしても、F・マリノスがこの域に入ってきたとは到底思えない。相撲界だって二場所連続で優勝に準ずる成績を挙げなければ横綱に昇進できないのだ。まだ、2強内に割って入り込む挑戦権を得ただけに過ぎない。
ただ、このチームの変化を感じた点は、必要以上に選手の出入りをしなくなったことだ。02年は保有選手を多く抱えていた上に選手の出入りが激しかったが、03年2nd〜シーズンオフにかけての動きはこれまでに比べて少なかった。FWマルキーニョスの放出には疑問符がいくつもつき、「やってくれたぜ」と思ったが、アン・ジョンファンという文句ナシの解答を出している。バックアッパーにするにはもったいない百戦錬磨の中西の加入もあり、3強入りへの準備は怠りないようだ。

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2位 ジェフユナイテッド市原
15試合8勝4敗3分勝点27(3位)
33得点(2.20)20失点(1.33)得失点差+13

まず、ベルでニック監督時代から3年計画を立てて、毎年監督が代わる不測の事態があったにせよ、
継続性のあるチーム造りを行ってきたフロントを賞賛したい(Bランクに格上げするには時期尚早)。
ホームタウンの問題、地元との密着度、観客動員の問題は残っているが(ハード的で問題のある臨海をあきらめて千葉市側の蘇我の新スタジアムに移るみたいだが。。。)、毎年降格争いに参戦するチーム、あるいは毎年昇格争いに加わるチームは、是非、参考にしてほしい。
このチームの躍進は満場一致でオシム監督に尽きる。
休みを惜しむことなく、走ることを惜しまず、名セリフも惜しむことなく継続してきた成果だ(サムイですね〜自爆)。
90分間ピッチを全員が駆け回り、数的優位でプレスをかけてボールを奪ってからの速さは魅力的で、
ヨーロッパのサッカーと比べても遜色ないほどハイレベルだった。
ただ、惜しむらくは(またかよ)、
ミリノビッチ、サンドロ、チェ・ヨンスへの依存度がまだ高かったことではないだろうか。
いいゲームができていたのにジュビロ戦を勝ちきれず(1対1をはずした)、
上記3人が揃わなかったエスパルス戦・レッズ戦を落としたことは無関係でないだろう。
では、さらに上を狙えるかというと、日本人選手の底上げが不可欠になる。
阿部、坂本、佐藤、村井、羽生、山岸、巻、林ら、中盤から前戦にかけては伸びしろの多い若手の宝庫だ。
戦術的には研究し始められているだけに、ファーストステージ並みの成績を残すには、
この中から一人でも多く一本立ちできるようになることが不可欠である。

攻撃力守備力組織力選手層監督フロント総合
A B S B S CA

----------最終順位 2位  (予想比)


順位 試合 勝数 敗数 分数 勝ち点 得点
失点
得失差
(年間順位) 3 30 15 7 8 53 57 1.90 38 1.27 19
(第1ステージ) 3 15 8 4 3 27 33 2.20 20 1.33 13
(第2ステージ) 2 15 7 3 5 26 24 1.60 18 1.20 6

またもやあたってもおた(驚)
開幕3連勝で幸先よく滑り出し、最終節まで優勝の可能性を残し、1stの快進撃はフロックではナイことを証明できた。阿部、坂本、佐藤勇人、村井のMF4人はチームに欠かせない存在になり(阿部にはグランパス、坂本にはエスパルスよりオファーがあった)、選手層が薄いながらも6位以内の順位に踏みとどまれたのは、オシム監督の手腕・育成の賜物だ。
ただ、大混戦の優勝争いとはいえ、12節にサンガに3点先行されては(後半41分・44分に林が2ゴールを挙げるも追いつけず)その時点で優勝の可能性はゼロに等しいだろう。また、数字から見てもわかるように、1stよりスケールダウンしているのはまちがいない。チェ・ヨンスが1st13試合12得点から、ケガの影響などもあって11試合5得点に落ち込んだのが単純計算としてマイナスになっている。
この年間を通しての戦い振りを見てみると、加わることに意義があった優勝争いへの参入は達成できた。いよいよ頂点取りを目指そうかと言う段階に入ってくるのだが、興奮覚めぬうちにチェ・ヨンス、中西の放出ですかー。監督と折り合いがつかない前者はともかく、チームの精神的支柱を簡単に見切りをつけては、他の選手の反発(契約更改の難航)を招いて当たり前だ。アーセナルのFWカヌー(ナイジェリア)獲得を企てていたようなので、観客動員数J1最下位に終わっても財政的理由だけで戦力外に踏み切ったとは考えにくい(それとも単なる矛盾なのか)。
フロントの拙さが気になったが、オシム監督続投は最大の補強だ。ここだけは惜しむべからず(またまたやってもおた)と判断したのだろう。大きな二つの穴の埋め方次第では躍進も崩壊もありうるだけに、3年計画終了後の一年目をどう滑り出すか。もっとも3年計画の最初の年(01年)には、主力クラスを放出しながらも上位に食い込んだ歴史がある。監督の要求する選手を補強できるのか、フロントにかかる比重は大きい。

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3位 ジュビロ磐田
15試合9勝2敗4分勝点31(2位)
34得点(2.27)17失点(1.13)得失点差+17

これを書いた日はまだ正式発表されていないが、藤田がオランダに行ったものとして予想する。
高原のマイナスをグラウで補填できたが、
結局、ゴン中山不在となってしまっては、勝負どころで得点をあげられないで4分けを喫した原因になった。
前田に使える目途は立ったものの、タイプが違うのでポスト役不在の穴は埋められなかった。
その上今度はMF藤田が抜けることになると、どうしても名波が抜けた直後の99年セカンドステージ12位
という成績を思い出さずにいられない。
無論、その当時とはチームの完成度が違うが、メンバーがほとんど入れ替わっていないことも否定できない。
昨年は若手への切り替えを先送りにしてでも両ステージ制覇を狙い、実際に達成した。
そのメンバーから高原・大岩・金沢が抜けたにもかかわらず、穴埋めの選手獲得の話が聞こえてこない。
このためMF西・河村がよく起用されるようになったとはいえ、相対的には選手層が薄くなっている。
そこでピッチ上の監督の内の一人が抜けていくと、影響は計り知れない。ただ、名波のときほど依存度が高くないのが救いである。
新人のMF成岡、MF菊地に出場機会が出てくるだろう。次の世代が台頭してこないようだと4位以下の成績になっても不思議ではない。

攻撃力守備力組織力選手層監督フロント総合
B A A B B B

----------最終順位 3位  (予想比)


順位 試合 勝数 敗数 分数 勝ち点 得点
失点
得失差
(年間順位) 2 30 16 5 9 57 56 1.87 34 1.13 22
(第1ステージ) 2 15 9 2 4 31 34 2.27 17 1.13 17
(第2ステージ) 3 15 7 3 5 26 22 1.47 17 1.13 5

コレまたあたってもおた(こわ)
藤田が抜け、ゴン中山隊長が残り3試合でようやくベンチ入りという、これまでのジュビロでは考えられない布陣をよくやりくりしたと思う。ジブコヴィッチが攻撃的MFに定着し、FW前田、FW西野がほぼフル出場し、MF成岡、MF菊地も成長の跡が伺えるのは、さすがヤンツーといったところ。ダテに10年近くこのチームで若手を育成してきていません。
ただ、13節で1位に踊り出たとはいえ、8節で10位のチームが優勝できるほど甘くなかった(最終節直接対決ロスタイムでの失点はあらゆる意味で衝撃的だったが)。攻撃陣のスケールダウンを(このチームにしては)守備的な戦い方を選んだといえど、GKはステージを通して心もとなかった。ヴァンズワムは4節セレッソ戦で判断ミスから2失点を喫すると、スタメンから外れることに不満を示しそのまま退団。山本がずっと起用されたがまだまだ経験不足。佐藤洋平を借り入れてフル出場した天皇杯でようやく安定した。強いチームによいGKありの法則は当たっていますね。
02年までおなざりだった若手育成にメドが立ち、かつ優勝戦線に食い込むという難しい要求を成し遂げた(しかも天皇杯に優勝してバースデーV達成)柳下監督が中山、服部の説得にも応じず去っていった。「就任するとき(フロントに)約束していたことが実現されなかった。自分自身が我慢すればいいことだが、それはできなかった」「自分の口からは言えない」の言葉を残して去っていくフロントの能力は。。。と言いたくなる。後任に強化部育成センター部長の桑原元監督が99年以来5年ぶりに復帰。ヤマハモンロー主義継続ジュビロらしい強さと若手育成の二兎を追うが、理想と現実をどのように折り合いをつけるのか興味深いところだ。

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2003年Jリーグ予想&分析